日本認知症学会専門医を対象にした新型コロナウイルス感染症蔓延による認知症の診療等への影響に関するアンケート調査(令和2年8月14日付)ではCOVID-19流行後に何らかの認知症症状の悪化を経験した医師は多いようです。「分からない」「無回答」を除く内訳では、「多く認める」が8%、「少数認める」が32%で、「認めない」の23%より多い結果でした。悪化した症状は中核症状、行動・心理症状(BPSD)で差はありませんでした。症状悪化の原因はデイケアなどの利用機会が減ったため、社会的な関わりが減少した影響が考えられます。認知症外来はできるだけ受診抑制を行わず診療を続けていますが、認知症の人とご家族は病院に行くことを躊躇しています。介護サービスは通所サービスを中心に頻度が減少し、認知症の啓蒙を目的とした集会、家族会は回数を大きく減っている状況でした。
新型コロナウイルス対策の拡がりで様々な制約が生じ始めて約2 ヶ月間しか経過していなかったにもかかわらず、症状の悪化を認めた専門医がかなりの数にのぼり、具体的に「うつ症状を呈する方が増加した」「(施設にて)家族面会が中止となり、不安定になった」「(デイなどでの活動がなくなり)在宅生活で中核症状が進行した」「(外出制限により)活動量やADL が低下した」「やはり外出制限や家族と会えない(面会制限)により、不隠となることが多い。さらに社会活動も制限され認知障害が悪化している印象がある。」「感染リスクへの恐れからデイサービスの利用を控えたり、一時的に住まいを変えたりした方の場合、認知症の人の意欲・発動性の低下、混乱、筋力低下などの問題がみられる。」といった声が寄せられていました。
今後、さらに面会禁止の病院や施設も多くなり、認知症医療に関して影響を分析して、認知症のご本人やご家族にもよりよいニューノーマルなケアが行き届くように検討する必要があるかと思います。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)流行による認知症診療及びケアの現状を解説します
https://blog-neuro.com/covid-19/
日本認知症学会専門医を対象にした新型コロナウイルス感染症蔓延による認知症の診療等への影響に関するアンケート調査(令和2年8月14日付)
http://dementia.umin.jp/pdf/kekka.pdf
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