新型コロナウイルス(COVID-19ウイルス)に関する排泄物への注意と感染対策

投稿者 浜松医科大学 臨床看護学講座 内藤 智義

● COVID-19の伝播

新型コロナウイルス(COVID-19ウイルス)感染の主な経路は、飛沫感染と接触感染です。新型コロナウイルスは呼吸器症状があるので、飛沫感染に対する対策に目が向きがちですが、COVID-19患者には下痢症状もみられ、患者の糞便中にCOVID-19ウイルスのRNA断片が検出されていることから、排泄物からの接触感染にも注意が必要といえます。

新型コロナウイルスは、まだ明らかになっていないことが多いですが、日頃からの感染予防対策と合わせて排泄物等からの感染にも注意をしましょう。

● 身近な環境を清潔にする

ウイルスの接触感染を防ぐため、手洗い・手指消毒は感染対策の基本ですが、多くの人が頻繁に触れる箇所を清掃、除菌し、身近な環境を清潔に保つことも必要です。アルコール製剤や次亜塩素酸ナトリウム等が有効です。特に、高齢者施設や在宅の生活環境下でCOVID-19の疑われる人がいる場合、介護者および他の家族を守るためにもテーブルや寝室の家具など、頻繁に触れる表面は定期的に清掃する必要があります。スプーンや食器は、使用するたびに洗って乾燥させ、他の人と共有しない。浴槽は少なくとも1日1回は清掃および消毒する必要があります。

排泄物の取り扱いでは、手指消毒を実行することが重要です。マスク、ゴーグル、エプロン、手袋などを着用し、個人防護具を取り外した後は手指消毒を実施します。トイレの環境も頻繁に触れる箇所(便座、レバー、フタなど)を定期的に清掃し、ベッド横でポータブルトイレを用いる場合、排泄物を処分した後、中性洗剤と水で洗浄し、0.5%塩素溶液で消毒してから、きれいな水ですすぎ、すすぎ水は排水溝またはトイレに捨てます。おむつは交換後にすぐに慎重に廃棄します。これら排泄物を安全に取り扱いすることを考慮する必要があります。

世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)による「新型コロナウイルス(COVID-19ウイルス)に関する水、衛生、廃棄物の管理 暫定ガイダンス」仮訳:国立保健医療科学院生活環境研究部

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