認知症患者の新型コロナウイルス感染による死亡リスクに関する影響

浜松医大学臨床看護学講座 鈴木みずえ

わが国では、基礎疾患のある人、あるいは高齢者の死亡率が高いことが指摘されていますが、認知症高齢者の影響については十分報告されてないので、海外の研究報告を紹介します。

表1は、米国の認知症患者における新型コロナウイルスの影響に関して、新型コロナ人の死亡率のリスクに関する結果を示しています。多変量分析の結果、腎疾患や糖尿病のリスクが高く、オッズ比が腎疾患2.13、糖尿病1.70となっています。、オッズ比はその病気がある群がない群と比較した比率です。認知症に関しても1.29と有意なリスクになっています。

表2と3は、イタリアの新型コロナウイルスによる死亡に影響する年齢・性別・認知症の診断の研究報告です。入院した患者672名、認知症患者は、82例(13.1%)、認知症の有無別の死亡率は、非認知症患者で26.2%(545例中143例)、認知症患者で62.2%(82例中51例)と有意に高い状況でした。死亡の有無を目的変数とした多変量分析では、認知症の診断は死亡率と有意な関連が認められ、認知症患者のオッズ比は1.84と有意なリスクになっています。認知症患者の中で最も頻繁に認められた症状は、せん妄(とくに低活動型)、機能状態の悪化でした。以上から、認知症高齢者の場合、死亡率や死亡のリスクも高いことから、予防対策の必要性が高いことがわかります。

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